is in you (幻冬舎ルチル文庫)
新聞記者・弓削圭輔(ゆげけいすけ)×通訳・鳥羽一束(とばいつか)
《感想》
3月前後に発売された本って、地震で読書欲が落ちたときに大量に積読山化してます。最近せっせと読んでみて当たりが多くて嬉しびっくり。この本もじっくりゆっくり腰をすえて読みたい1冊でした。
話は基本的に一束目線で進みます。高校時代の2人の出会いとすれ違いの後、舞台を返還後の香港に移して大人になって再会した2人の恋模様です。
高校時代は、初々しさと戸惑いと小さなプライドが、キラキラしてます。他人が近づかない場所で言葉を交わしお互い想う様になっても、一束は抱えた病気(命に関わるものではない)から圭輔を拒否し、圭輔もまた深く踏み込みませんでした。好きな人を拒否してもコンプレックスである体を見られたくないという、若さ特有の潔癖な気持ちが切ないですね。
大人になって再び出会ってお互い強く惹かれても、過去と現在の状況からやはり素直に心を明かすことは出来ませんでした。もし圭輔が動かなかったら、きっとそのままだったんでしょう。でも大人になるということは経験を積むということ。大人になった圭輔は今度は引かず、その後の小さな騒動をきっかけに、ハッピーエンドです。
この話の影の主役はもちろん、圭輔の元上司で一束の不倫相手・佐伯でしょう。記者として傍から羨ましがられる能力を持っていても、本人が望むことは違うことで、若くて体力があり真っ直ぐな圭輔を可愛がりつつ猛烈に嫉妬して憎むという、複雑なキャラです。展開次第では、一束の最後の相手になってもおかしくなかったかもしれません。でもそうしたら、暗い重い将来になりそうな気もするから、個人的にはやっぱり圭輔でよかったなぁ。
あ〜、まだ積読山には気になる本が残ってます。早く読まなきゃ、旬が過ぎるよぅ。


