入院患者は眠らない (キャラ文庫)
地検特捜・大杉良(おおすぎりょう)×製薬会社MR・水野恭彦(みずのやすひこ)
《感想》
10年ほど前に入院したことがあります。その時思ったのは、「看護師さんって本当にすごい」でした。ワガママ患者をなだめつつ夜間も見回りや急患対応など、本当に激務。せめてお給料ぐらい、たくさんあげて欲しいと思ったもんです。必ず彼らのお給料になるなら、健康保険料が上がってもいいかも。
で、この話。タイトルに入院患者とありますが、あまり関係ないというか。中篇シリーズ2作の前半で、大杉は身分を隠し潜入入院中というだけ。後半になると水野は失職して就活中で、病院は一切出てきません。
結局、ポイントが良く解らない話でした。まず、仕事に対する態度が曖昧で「働く男」感がないんです。容疑者を脅迫するおとり捜査に簡単に素人を巻き込む特捜って、いくらなんでもありえない。大杉の名前から連想する、遠山金さんのような破天荒な仕事をするキャラには見えません。水野の業績不振の原因についても、おそらく「オープンマインド」出来てない所為といいたいんでしょうが、普段はどんな営業をしているのか不明なので、読者にはなんとも評価不可能。
じゃぁ恋愛方面が充実しているのかというと、これまたとってつけたかのよう。水野は唐突に相手を意識してるし、大杉からは10年近く音信不通の相手を思い続けるほどの理由や熱が感じられません。キャラが立っていないというのは、こういうのを言うんでしょうね。なんだか大昔の、BLってこんな感じなんでしょ〜っていう思い込みテンプレ作品のようでした。
ハバネロ並の辛口になってしまいましたねぇ。でも主観での評価なので、読む方によっては楽しめるかも。それに、愁堂さんは多くの良品も書かれているので、これ1作で評価は出来ません。次作、楽しみしてますよ〜。


