雪原の月影 (ロワ・ノベルズ)
下男・ガンチェ×リンス国元皇太子・エルンスト

《感想》

BLといえば、昔は「山なしオチなし意味なし」なんて言われたもんです。確かにエロだけの作品もありました。でも、今でもそんなイメージを持ってる人にぜひ読んでほしい。「雪原の月影」は、そう思えた素敵なBL小説でした。

主にエルンスト目線で進む月の呼名がついた「朔月」「三日月」の2章と、ガンチェや周辺の目線で進む閑話で構成されています。新書サイズの本より一回り大きく、厚みも2冊分はあってボリューム満点。字は小さめですが、行間にゆとりがあって読みやすくなっています。

「朔月」は、病気が原因で廃嫡され貧しい領地へと追いやられたエルンストと、そのエルンストを恋慕い追いかけてきたガンチェが伴侶となるまでの話です。ガンチェの真摯な想いによって心に種をまかれたエルンストが、じっくり時間をかけ様々な感情を芽吹かせていく様子が、とても丁寧に描かれています。

そして本作の一番の魅力でもある「三日月」は、エルンストによる領地改革の始まりの話です。恋愛の甘いシーンも入れつつ、あくまでもメインテーマは領地改革。かなりのボリュームをダレずに書いた作者さんは、本当にすごい。

BLには多くの有能なキャラが登場しますが、どれ程素晴らしいかは簡単な文章や結果だけで表現されることがほとんど。それよりも、二人の恋愛描写がメインになるのが一般的です。なんたってBLですから。なのに本作は、恋愛以外を真正面から取り上げてるんです。

軽く読むには向いていないし、恋愛の駆け引きが楽しい話でもないので、読む人やタイミングを選ぶ作品でもあります。あと、世界史が苦手な人にも向いていないかも。相性が合うかどうか、購入前に試してみるのがおススメです。

実はこの作品、元は「ムーンライトノベルズ」という女性向け18禁オンリーの小説サイトで公開された作品を改稿したもの。元の小説は現在でも公開されていて、読むだけなら会員登録も必要ありません。

まだ18歳未満な方には、「小説家になろう」で主人公を女性に置き換え18禁成分を控えた同じタイトルの作品が公開されています。こちらも読むだけなら会員登録不要。非BLですが、大筋は一緒で雰囲気は掴めます。

そしてそして。まだ本になっていない「三日月」の続き、「上弦の月」「下弦の月」「満月」と、二人の最後まですべて読むことができます。書籍化されたら下げられることが多い投稿作品なのに、まだ読めるなんて本当にラッキーですよ〜。

かなりボリュームがあるので、また落ち着いた時に読んで感想を上げたいと思います。

「雪原の月影」ムーンライトノベルズ版 ※18禁
「雪原の月影」小説家になろう版

◆あらすじ(Amazonより)
リンス国の皇太子・エルンストは病に侵され、その位を剥奪されるとともに、険しい谷と雪に閉ざされる最貧領地・メイセンの領主へと追いやられてしまう。 王宮を出て、人並みの心を芽生えさせたエルンストの前に現れたのは、かつて、王宮の湯殿で下男をしていたガンチェだった。 他種族のガンチェを受け入れ愛したように、メイセンで暮らす民を愛しはじめたエルンスト。極貧生活をおくる領民の窮状を目の当たりにしたエルンストは領民を信じ、未来を切り拓く決意を固める――。

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