千年皇帝 ~最後の花嫁~ (角川ルビー文庫)
皇帝・炎火(えんか)×村人・青藍(せいらん)

《感想》

BLの鉄板キーワードのひとつに、「花嫁」ってのがあります。男なのに…じゃなくて、男だからこそ花嫁になる理由が必要で。身内の身代り&借金のカタが、2大理由でしょうか。他には 一族のしきたりとか、前世の約束なんてのもあります。今回は、生まれ変わりパターンでした。

青藍は、ある日突然に皇帝の花嫁として選ばれ、皇城に連れていかれます。そこで待っていたのは、炎火とイトコ達4人。実は彼らは自分の体に幻獣を寄生させていて、不老不死。でも幻獣の力を使うたびに体が呪文で覆われ、最後は身体を乗っ取られて死ぬという、呪いもかけられていたんです。

愛し愛された人間のある言葉で呪いを解く方法もありますが、呪いがとけるということは幻獣の力も失うということ。国を守るために幻獣の力を求めた彼らにとって、どちらを選ぶかは明白。だから誰も愛さないように、1000年以上生きてきたんです。自分だけじゃなく他に3人の仲間がいたからこそ、耐えられたんでしょうね。

でも恋って、自分の意志でどうなるもんでもなくて。炎火は800年前に出会った青藍を愛します。そして戦で命を落とした青藍を幻獣の力で800年後に転生させました。その代償が、体を覆う大量の呪文。炎火だけ、もう呪いが完成しそうになっていたんです。

そんな炎火を助けたいと願ったイトコたちが青藍を呼び寄せた、ってわけです。といっても青藍に前世の記憶はなく、呪いを解く言葉は青藍自身で見つけないといけないので、事はすんなり進みません。

転生ものにつきものの「昔の自分と今の自分」の葛藤といった恋の行方ももちろん注目なんですが、私の印象に残ったのは、イトコ3人の懐の深さ。理想を掲げる炎火をサポートして密かに汚い仕事をすべて引き受け、さらには炎火を呪いから助けたいと願います。

呪いが解けるってことは、炎火は人間に戻るということ。国を守るための戦いも、その後の長い呪いも、残った3人で引き受けようっていうんです。なんとも男前じゃないですか!でも今回は炎火だけでしたが、それが2人になり、最後に1人残ったら…いったい彼らはどうなるんでしょう。

炎火が生きている間に、他の3人の呪いが解けてほしいですねぇ。続き…あるのかな。

読んでみたいな~と思った方に、おすすめ情報。月東湊さんのオリジナル小説サイトで、本作のSSが公開されています。本編の800年前、転生する前の青藍と4人の話です。本編を読む前でも後でも大丈夫なので、気になる方はチェックしてください。

月東湊さんのオリジナル小説サイト「AquaMarine」内 Diary「あれこれ日記」2015.01.02の記事

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)突然やってきた皇帝の使いに花嫁として皇城に迎えられた青藍。花嫁に仕立てられ、初夜の褥を準備されて戸惑うが、精悍な皇帝・炎火は青藍に添い寝を命じるだけ。しかも、日中は本物の寵姫のように優しく愛でられ、青藍は次第に炎火へ親愛の情を向けるようになる。けれどある夜、禁を破って青藍が目隠しの隙間から覗き見ると、そこには化け物を体に宿した炎火の姿が―。千年前、『その醜い姿でも愛する者を見つけなければ永遠に解けない』呪いを炎火はかけられていて!?
(Amazon「内容」より)

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