金の公爵の恋人 (ビーボーイノベルズ)
欧州公爵・アレックス=ウィルフレッド=オースティン×別荘番の孫・吾妻春臣(あづまはるおみ) 表題カップル
弁護士・榊原渡(さかきばらわたる)×大学生・桜木千里(さくらぎちさと)
※中編2作です。
《感想》
ひと昔前の王道BLってこんな感じだったよね〜、いやぁ懐かしいわぁ。
読後に最初に思ったのは、オバサンっぽさがあふれる(笑)感想でした。甘くてふんわり、後書きにあるように「王子様とお姫様」なBLです。昔に雑誌に掲載された作品というわけでもなく、奥付で1〜4年前と確認して改めてびっくり。ファッションの流行と同じで、10年経つと新鮮に見えるのかも。
まず、1作目。貴族な攻めが庶民の受けを自分のパートナーとして教育する、マイフェアレディ物語です。素材がよくて素直な春臣は洗練され、見事に目的を達成。お互いに恋心も育てて、めでたくハッピーエンドな作品です。公爵家なのに跡継ぎはいいの?とか、関係を周囲に隠し通せるの?とか、細かな突込みはNG。雰囲気を楽しむ作品です。
2作目は、庶民育ちで一般人のはずが実は大財閥の跡継ぎだった、というこれまたBLだけでなく少女漫画でも定番な設定です。迎えに来た弁護士が親身に世話をして二人は恋に落ちるという、これまた激甘なお話。
最近の綺麗だけじゃないBLキャラに慣れた身には、千里があまりにも優等生なイイ子で違和感を感じちゃいました。おじいちゃんに恨みの一つもぶつけるとか、同性との恋に葛藤するとか、人間らしい弱さがあればもっと作品に入りめたんですけどねぇ。私が夢見る10代だったら、気にならなかったかも。
イラストの佐々木久美子さんは、ちょっぴり雰囲気が変わりましたね。最初、南国っぽい雰囲気が綺麗な表紙を見たときは佐々木さんだと気付きませんでした。こういうのもいいですねぇ。またBL漫画も描いてくれないかなぁ。