推定恋情 (フルール文庫 ブルーライン)
フリーライター・小笠原晃司(おがさわらこうじ)×弁護士・藤野恵吾(ふじのけいご)
《感想》
お肌の色がグレーっぽいせいか、泥沼粘着系BLを想像しちゃいました(笑)。実際は180度逆の方向で、諸事情から気力を失った被疑者の気持ちを担当になった弁護士の熱意が動かす、というもの。さらっと気分よく読めますよ〜。
恵吾は、大手弁護士事務所に所属する弁護士。32歳と若いながら有能で出世欲もあり、事務所ではそれなりのポジションにいます。普段は企業相手=民事専門の事務所に刑事案件が持ち込まれたのは、事務所代表が担当するグループ企業会長の孫息子・晃司が殺人事件の容疑者になったから。
容疑者とその弁護士ということで、二人は敵対関係じゃありません。でも晃司は殺人は否認しつつも、なぜか非協力的で。そんな晃司に、クールなはずの恵吾のほうが情熱をかき立てられ、無実の証明に奔走することになります。
晃司が黙っていたのは、被害者と自分が昔に付き合っていた=自分はゲイだということを隠したかったから。スキャンダルになって家族や会社に迷惑をかけたくなかったんです。そのことを理解した恵吾に晃司も信頼を寄せ、事件の真相も次第に明らかになっていき…。
晃司は容疑者で怪我もしてるため、ほとんど動きません。そのぶん恵吾が飛び回っていて、弁護士というより2時間ドラマの探偵や刑事といったほうがイメージは近いかも。最後にお約束の、法廷で「犯人は別にいる!」っていうのもやってますしね(笑)。
恋愛シーンは少なめですが、オトナな自立した二人の恋愛らしい気もしました。周りを気にせず情熱のままにべったり、なんて逆に違和感がありますもんね。それに描き下ろしでのライバルへの「恋人宣言」のように、ポイントはきっちり押さえてるのもツボでした。
推理モノBLとしてもまとまっていて、おすすめ。文庫にしては行間ゆったり目なので、気軽に読めますよ。
KADOKAWA/メディアファクトリー 2014-05-14