斜向かいのヘブン (ディアプラス文庫)
会社営業・九條柾己(くじょうまさき)×上司・羽村紘人(はむらひろひと)

《感想》

4月の「古いBL作品感想」でアップするつもりが、忙しくてすっかり忘れてました…。9年ほど前の作品だから、アップのタイミングもへったくれもないのが救いでしょうか(苦笑)。ということで改めて5月分の「古いBL作品感想」です。

中編2作からなる本作は表紙からはリーマンBLの香りが漂うように、一言でいうなら「愛想がなくて人付き合いがヘタな上司・羽村の意外な一面を知った九條が、どんどんハマって気になって…」という話。このまま会社員の恋バナで進むのかと思ったら。なんと中盤からは、予想外の方向へと展開していきます。そして衝撃の事態が!

ヒントは、表紙に描かれてました。九條の首筋のばんそうこうと、羽村の口元の見事な八重歯。そう、実は私の大好物の吸血鬼モノでもあったんです。羽村の勘違い、と思わせて本当に吸血鬼というオチは予想もしませんでした。

だってね〜、羽村ってまったく吸血鬼らしくないんですよ。日中平気で外を歩き回るのはもちろんのこと、ニンニクも十字架も平気で、鏡にも普通に映るという、まったく人間と同じで。だから九條は本気にしなかったし、羽村自身も勘違いと思ってしまったんです。

欲情したときだけ牙が伸びるため、中学時代の体験以降、徹底的に親しい付き合いを避けてきた羽村も気づかなかったんですねぇ。初体験は未遂で終わりましたが九條はそんな羽村を受け入れ、増血体制を整えてやる気満々で中編2作目は始まります。

こちらは、自分を見失う恋は初めての九條と恋愛初心者の羽村の、ちょこっとすれ違いと仲直りと本当のお初の話。「用事がないから自分からは電話がかけられない」と本気で思っている羽村が相手ですから、本来なら九條がリードすべき。でも九條も余裕なんてないから、想いは一緒なのに悩んじゃうわけです。

基本的に軽いテンポで進みます。読んでいて場面が目に浮かぶだけじゃなく、音まで聞こえてきそうでした。例えば羽村のキィキィ笑いとか(笑)。なおかつ羽村の切ない過去とか、しっとりしたメリハリも効いています。さすが砂原さんってかんじ。ラストには嬉しい未来予想が待っていて、読後も最高でした。

今読んでも、作品の古さはまったく感じません。紙本は品切れのようですが、電子書籍で出ています。Kindle版がやけに安いんですよね〜。専用端末じゃなくてもスマホやタブレットでも無料アプリで読むことができるので、おすすめ。PCは残念ながら対応していません。早く日本語PC対応してくださ〜い!

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)「俺、吸血鬼だから」無口で無愛想な上司・羽村の口から、とんでもないことを聞かされた久条。勿論本気になどするはずもない。久条はムキになって羽村の思い込みを正そうとするが、彼は頑なだった。だが共に過ごす時間が増えるにつれ、実は人と話すのが好きだったり、食玩集めが趣味だったりといった意外にかわいい素顔を知り、久条は羽村に惹かれ始める…。ほんのり不思議テイスト、年下攻リーマンラブ。
(Amazon「内容」より)

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