騎士が愛でるは籠の鳥 (プリズム文庫)
異界の騎士・リーンハルト×日本人で男娼・藤生楓月(ふじおかげつ)

《感想》

異世界へ飛ばされた現代日本人が主人公の、ファンタジーBLです。去年あたりからぐぐっと増えましたねぇ。今年のBL注目キーワード候補に認定して間違いなさそう。ちなみに他の候補は、「もふもふ」。どっちも大好物だから嬉しい〜(笑)。

BLに限らず異世界へ飛ばされた主人公って、何らかの使命や役割を知らないうちに背負わされています。異世界を救うだったり、王を助けるだったり、魔物を倒すだったり。ところが本作で主人公を含めて異世界飛ばされた人間=迷い人は、特別な使命は何もありません。見知らぬ世界に一人、いきなり放り込まれてそれっきりなんです。

だから異世界なのに言葉や文字が解る、といった特別な能力も与えられません。しかも現代日本とは習慣も道徳観もまったく違う、世襲の身分制度が絶対の世界で。そんな世界で最下層に迷い込んだ楓月は身ぐるみはがされ娼館に売り飛ばされ、2年間それでも耐えて生きてきました。

リーンハルトとは、客と男娼として出会います。暮らしの良さを思わせる柔らかい優しさに張りつめていた楓月の我慢は切れ、逃亡しようとして失敗。なぶりものにされかけた楓月を買い取ったのは、リーンハルトでした。

それから一気に二人の気持ちが近づくかといえば、そんなことはなくて。リーンハルトにとって楓月は愛しい相手ですが、男娼とはいえゲイではない楓月にとってリーンハルトは恋の相手ではありません。あくまでも自分を買い取った相手、なんです。寝るのは仕事で本心では望んでいないはずでした。

だから見ない振りした本音に体が先にリーンハルトに反応して、おまけにリーンハルトの本気も分かり、怖くなって逃げ出しちゃったんです。でも結局は辛い思いをして可哀想なんですよ〜。しかも逃げた先に怒れるリーンハルトまで登場してどうなるかと思ったら、さすがにこれ以上辛いことはありませんでした。良かったぁ。

と、本来ならすっきり読了となるところ。だけど本作には、もう一つのテーマ(と私が勝手に思っている)「道徳観の違い」があります。上は搾取し順番に弱いものから奪い他者を思いやる余裕がないまま、今回は終わりました。だから楓月が持っている道徳観と異世界とのギャップに、この先も苦しむのは間違いなさそう。

でもこういうのって、一人で唱えても排除されるだけ。今までの迷い人も、保護といいつつ実態は余計な考えを広めないよう監視されてたんです。リーンハルトも楓月の考えを正しく理解しているとは言い難いし、急激な変化も無理だしよくないし。どうするのかなぁ。ラブ方面よりも異世界が改革されるか気になるので、続編希望します〜(笑)。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)楓月は迷い人だ。現代の日本から、わけもわからぬまま異世界に飛ばされてきた。それからというもの、楓月は娼館で春をひさぎ生きている。死ぬほど嫌な仕事だが、繊細な美貌が人気を博して店一番の売れっ子になってしまった。そんなある日、楓月に貴族の指名客がつく。筆下ろしを頼まれたのは、素晴らしい美青年の騎士で…。
(Amazon「内容紹介」より)

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