恋するわんこはお年頃 (二見書房 シャレード文庫)
高校生・岸岡玲(きしおかれい)×高校生・波瀬裕貴(なみせひろき)
《感想》
春に読んだ吸血鬼BLとの相性が良かった、楠田雅紀さん。今回も表紙から、人外×人間と予想しました。結果は、半分正解。作家さんの方が1枚上手でした。
ケモ耳人間のパターンとして、元は犬だったのがなんらかの理由で人間の姿になる場合と、狼人間のように自由に姿を変化できる種族の場合の、2種類に大別できます。今回は後者、犬人間=狗人の攻め君です。
話は裕貴目線で進行。初めは「超イケメン親友に告白されて悩む高校生」という、定番というか、はっきり言えばありきたりな展開でした。イケメン親友・玲がワンコ耳の持ち主なのは表紙から判るとして、このネタをどう絡めてくるのかと思ったら、話が進むにつれどんどん予想外の展開に。
きゃぴきゃぴ可愛い高校生モノBLのイメージだったのに、どんどん人外色が濃くなり、ついには裕貴にも秘密があることが明かされます。そして本人は全く知らなかったその秘密の為に、人外に狙われることに。一気にメリハリのある緊迫した展開へと変わります。
裕貴の秘密のヒントは、苗字に隠れてます。そういえば当て馬もそうだし、玲は自ら名前にあるこだわりを持ってつけてました。なので、もし本作がシリーズ化した場合、登場人物の名前は要チェックですね。
今回は長年の片想いを実らせた玲が力も得て、一件落着しました。ちょっとは暴走してもちゃんと待てができて海の底まで追いかける忠犬っぷりと、叱られた時に見せるうなだれっぷりが裕貴の心を揺さぶったようです(笑)。BLではオレ様な人外が多い中、このわきまえてる感はやっぱり犬ですねぇ。
主人公2人の正体が判明し、両想いで作は終わっています。他の種族も途中で多数登場していたし、裕貴自身の種族はまだ絡んできてないから、人気次第で今後のシリーズ化は濃厚。一気に読める作品だったので、2作目が出たら多分買うだろうな。