千両箱で眠る君 (リンクスロマンス)
公務員・長尾浩一(ながおこういち)×闇金融・嵯峨充孝(さがみつたか)

《感想》
久しぶりにバーバラ片桐さんを読みました。すると、とっても私好みの受けさんがいるじゃないですか。新人作家さんやシリーズ作、話題作につい目が行きがちですが、定番作家さんの単発作品もチェックしないとダメですね〜。

同級生の再会物BLです。最初は長尾目線で始まり、ちょっと進むと嵯峨に交代、そして再び長尾と、2人が交互に主人公になって話が進行。だから、嵯峨はツンデレさんなのね〜って事は読者にはすぐに明かされます。

長尾は容姿性格ともに「平凡」と表現されていますが、意外と冷静に考えて判断し行動するタイプ。この性格は前半ラストの危機で、自分達を助ける力になりました。ただ、嵯峨に関しては別だったようで。再会してすぐに後を追いかけ、口止めに脅されてる最中に密着して欲情、という平凡とは程遠い本能丸出しな反応なんです。

そこまで長尾に想われる嵯峨はというと、ずば抜けた美貌ながらヤクザ顔負けの口の悪さと威圧感を持った闇金で稼ぐ危険な男。幼くして両親をマフィアに殺され転々としたという辛い体験が元になっています。狭い場所でないと眠れないため、特注サイズの千両箱がベッド代わり。そう、タイトルは嵯峨のことなんです。

別に千両箱じゃなくても長持ちや棺おけでも良いんでしょうけど、そこは作者さんのこだわりの様で。道に落ちてるところを攻めが拾う、というのが妄想の始まりだったそうです。犬やネコなら可愛いけど、人が入って落ちてたら可愛いというよりは気味悪いかも(笑)。

組織に属せず単独で行動する嵯峨のことを、長尾は一匹狼と認識していますが、どちらかといえば、ネコ科で単独行動するジャガーかな。ヘビやワニのような悪人は襲うけど、大切な長尾やさくら先生に喉を撫でられると、目を細めてゴロゴロいって甘えそう。

襲われたらきっちりやり返す強さも持ってるあたりは、ますますジャガー。後半で嵯峨に執着するヤクザに脅しをかけられた時も、長尾を守るため一旦は別れますが、ちゃんと反撃の手段を用意してきっちりカタをつけました。前半では長尾が嵯峨のために命を張ったし、まさにお互い対等な関係。う〜ん、いいわぁ。

後半ラストで嵯峨が闇金から足を洗ったから、続編は多分ないかな。あるとすれば、長尾の家族がらみとか、長尾狙いの同僚(女性)でしょうか。でもそうなると嵯峨らしいキレのある反撃はしづらいだろうし。とにかく続編じゃなくてもバーバラさんの次の新作は、忘れずにチェックしたいと思います。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)幼少のトラウマから、千両箱の中でしか眠ることが出来ない嵯峨。ヤクザまがいの仕事をしている嵯峨は、身分を偽り国有財産を入札するため財務局の説明会に赴いた。そこで職員になっていた同級生・長尾と再会する。しかし身分を偽っていたことがバレ、口封じのため彼を強引に誘惑し、抱かれることに。その後もなし崩し的に長尾と身体の関係を続ける嵯峨だったが、何故か彼の側だと、千両箱の中以外でも眠ることが出来た。そんな中、長尾が何者かに誘拐され…。
(Amazon「内容」より)

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