恋して、炎上 (角川ルビー文庫)
消防士・安達光輔(あだちこうすけ)×司令官・新森水隼(にいもりみはや)
《感想》
「炎上」っていう言葉を見聞きすると、反射的にブログやツイッターをイメージするようになりました。でもこの話は、本来の炎上=火事と戦う消防士達が主人公。お仕事BLです。
火崎作品以外の一人称は、久しぶりですね〜。本作は安達目線の一人称で進みます。だから同期の新森を意識して本気で恋する気持ちの変化が、よく伝わってきました。最初から相手を対等と認めていて、後は深い友情になるか恋になるか、だけのこと。普通は友情なんでしょうが、新森がゲイで相手と揉めるシーンを直接見たことで、一気に恋愛に傾きます。
自分の気持ちを認めてからの安達の一直線ぶりには、見事なもの。まったく揺るぎません。経験の少なさからちょい気配りが足りなくても、仕方ありませんねぇ。初エロはあわや大惨事な強引さでしたが、そこは経験豊富な新森のおかげでなんとかなりました。
いっぽう新森は、なんでダメ男ばっかり選ぶのか。その理由が切ないんですよ。両親を早くに亡くしたことから、「失いたくない大切な相手は作らない」という無意識のストッパーが働いてるんです。でも本心では新森に片想いだったことがネタバレするのは、ラスト。でもBL愛読者には、もちろん簡単に予想がつきます。だからいくら毒舌はいても、「あらあら、ツンデレさんね〜」って暖かい目で見守りつつ読んでました(笑)。
全体的に気持ち良く読めたんですが、ひとつだけ引っかかったのは、安達の救助行動のこと。1度強引に進めて安達に大怪我を負わせたのに、また同じ事をしています。2度目は無事に救助できましたが、たまたまにしか思えなくて。1度目とは違い、ちゃんとボンベを2本持ってたとか、何か進歩した姿が見たかったなぁ。