神王の禁域 (ビーボーイスラッシュノベルズ)
蛇神・ナガ(本名:アグニ)×オンコー国王・シンハラ(本名:シンハ)

《感想》

桑原水菜さんのがっつりBL小説です。前作は、謎を残した終わり方が印象的でした。今回はどうかな〜。

と、期待半分覚悟半分(※痛かったとき・苦笑)で読み始めました。今回は、神と王という組み合わせ。これが王子だと生贄というか代償として差し出されてアレコレされるのはBL定番ですが、王というのは珍しいですねぇ。

今回は、あくまでも神様のほうが立場が上。生きるための生命線ともいえる水をつかさどる神様なので、歴代の王様も自分の精液を吸わせてきました。ただ正直に話すのは男の沽券にかかわるようで、世間一般には蛇神=女として伝えられてきました。

シンハもそのつもりだったのに、実は男で、しかも相性抜群で搾り取られ、あげくに抱かれてます。この相性の良さは理由があって、それが明かされるのはラスト。SLASHらしくエロシーンが続くのかと思ったら、心理描写がメインです。やっぱり桑原水菜さんでした。

2人の通常の神と王の関係を超えた心身の親密なつながりは、本人たちだけでなく周囲にも影響を及ぼしていきます。一番可哀想だったのは、シンハの妻である王妃。ライバルは神様で、しかも夫の優先順位ももちろん神様。嫉妬すれば遠ざけられ、夫公認の愛人を用意されて身ごもった子供とも死別、とくれば精神的に立ち直れなくて当然ですよね。

結局このことをきっかけに歯車が狂いはじめます。ラストの2人の選択はスカッと爽やかではないけれど、本人達にとっては幸せだから一応ハッピーエンドと言えそうです。

同時収録の書き下ろし中篇は、シンハよりも300年前=12代前の国王・ソリヤとナガの話。そんな前からナガが宮殿に囚われていたとは、ビックリ。正しいことをしようとしたものが敗れ、歴史が都合よく書き換えられてます。哀しいけど、これって歴史ではよくあることなんですよね。

「王座を勝ち取る」という約束は果たされませんでしたが、「死んでも生まれ変わってお前をここから出してやる」「また会おう」という2つは、果たされました。そう、実はシンハはソリヤの…です。だからあんなに惹かれあったんですね。本編を雑誌で読んでた方には、予想外のオチかも。

軽く読めるBLではありませんが、ラストがそれなりに前向きなので、読後は悪くありません。ちょこちょこ用事の合間に読むよりも、腰を据えての一気読みをオススメします。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)「お前の聖液は極上の味がする」奴隷の身分を隠し、成り上がって王の位についたシンハ。王としての最初の仕事は、ひとり神殿へ赴くこと…しかし真の国王の務めとは、毎夜蛇神に自らの精液を与え養うことだった! 国の繁栄を願う儀式を隠れ蓑に、夜ごと蛇神ナガの赤い舌でねぶられ淫蕩な愛撫を受けて、シンハはたまらず精液を溢れさせる。猥らに啼かされて、ついには貫かれる…余人は立ち入ることを許されぬ聖なる神殿で。桑原水菜待望の濃密エロス登場!
(Amazon「内容紹介」より)

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL漫画感想へ
にほんブログ村
応援ポチよろしくお願いします