月蝶の住まう楽園 (リンクスロマンス)
庭師でも実は…・ジョーゼフィティ=クラリッセ×郵便配達・ハーニャ=アーヴィン
《感想》
天然最高〜!ぽややん風に見えて、大事なところはしっかりしてる受けさんが登場します。こういう人が主人公だと、読んでて気持ちがいいですねぇ。
ジャンルとしては、中世欧州風ファンタジーBL。子供の頃から憧れ続けた職業「イル・ファラーサ(※郵便配達)」になれたハーニャは、赴任先の島に着任します。配達担当エリアで知り合った庭師・ジョージィは無愛想ですが、ハーニャは気にせず話しかけていました。
ある日大雨で体調を崩し倒れてたハーニャを看病したジョージィは、惹かれはじめます。そしてジョージィも原因のひとつである事件に巻き込まれてハーニャが大怪我をしてからは、想いと責任を強く自覚し、自分の役割を果たすために動き始めます。
収録された2作は、はじめが世界観・登場人物・彼らの仕事内容を伝え、主人公達が恋人になるまでの短めの中篇。そして次の長編は、2人の恋の進展がメインです。基本的にハーニャ目線で進み、どちらもハーニャが事件に巻き込まれて大変な目にあう展開です。
普通ならこういうときは白馬の王子様=攻めが颯爽と助け出すもの。でもハーニャの自力+攻め以外の助けで脱出するという、ある意味現実的で、ジョージィとしては立つ瀬が無い(笑)結果に。ハーニャが自分のするべき事をちゃんと見極められる子だからこその解決方法といえます。
観察力も鋭く分別もあるハーニャですが、色恋に関してはまだまだ初心者。しかも皆から恐れられる従兄弟にあれこれ吹き込まれたことを信じて育ってますから、今後もジョージィはビックリさせられつつ、その度に惚れ直すことでしょう。
ジョージィといえば、我慢できずに相手よりも先に自分が全部脱ぐ攻めは、BLでは意外と見かけませんねぇ。しかも寸止めで逃げられるなんて、オレ様のようで良いヘタレ味出してます。初めての最中に相手を長時間ほったらかしたジョージィの自業自得だしね(笑)。
まぁこんな感じで気持ちよく読み終えました。作家さんと相性が良さそうなので他の作品も探してみたところ、どうやら本作には同じ世界観の別シリーズがあるようで。そちらのほうが先かつ3作も出ています。これは買わなきゃ〜。