嫌になるほど (ビーボーイスラッシュノベルズ)
探偵・望我栄司(ぼうがえいじ)×探偵・波多野護(はたのまもる)
《感想》
探偵物はBLでは定番ネタですが、合わせ技の麻雀はほとんど見かけないテーマです。記憶にあるのは、やはり中原さん作で本作とはリンクしていない「雀荘恋愛事情」と、いおかいつきさんの「リーチ」ぐらい。全くルールも知らないのにどちらも感想をあげてるってことは、実は私は麻雀と相性が良かったりして(笑)。
さて本題。2人は、ホストクラブのマネージャーとホストとして出会います。望我から波多野にアプローチをかけ関係を持つように。けれど望我が賭け麻雀にはまり、ついには姿を消します。望我が再び波多野の前に現れたのは、それから6年後。望我は探偵事務所をやろうと持ちかけ、二人で始めてさらに2年が経って現在に至ります。
懐の深いエロオヤジ風攻めと、本当は攻めが好きだけど素直になれない受け、という典型的な組み合わせ。こんな2人が一歩進むには何か大きなきっかけが必要で、それが薬だったり、波多野を狙う当て馬が仕掛けた麻雀勝負だったりします。
後半では、そもそも波多野がホストになるきっかけの、生き別れの姉の捜索がメインに。コチラでの事件は、情報入手のための麻雀対決と中国人犯罪組織トップとの格闘技対決になります。
読み終わって最初の感想は、「なんだか盛りだくさんだったなぁ」でした。麻雀、姉の行方、外国人組織などの小ネタの山が次々来るから間延びはしないけど、ここがテッペンという盛り上がりにもイマイチ欠けた感が。特に後半の姉と組織の件については、そんなあっさり終わるのか、と拍子抜けしてしまいました。
ふざけているようで有限実行、波多野を最優先にする望我とか、とっても好きなタイプなんですけどね〜。探偵事務所を始めた一番の目的は、波多野の姉探しの手伝いをするためだろうし。彼目線の話も読んでみたかったな。
佐々木久美子さんのイラストは、いつものごとく色気と男気たっぷり。表紙はいつもとちょっぴり違う印象でしたが、口絵は前のイメージで。奥付をみたら、前半の雑誌掲載は4年前でした。両方、それぞれ味があって好きかも。