マウリと竜 (ビーボーイコミックスDX)
竜の巡り神×村人・マウリ 表題カップル他
※短編シリーズ集です、
《感想》
大好きな元ハルヒラさんの最新作だ〜!とすぐに購入したけど、感想は遅くなっちゃいました。もう次の作品が出ちゃって気になりますが、まずは順番で本作から。
まずは表題作。この作品は、何と言っても「竜の巡り神最高〜!」の一言につきますねぇ。冒頭、神様のお相手として差し出されたマウリ(男)をみて放った最初の言葉が「チェンジ!!」ですから。神様が求めていたのは生贄ではなく滞在する間の話し相手だったので、別に女性じゃなくてもいいはずなのに(笑)。なんとも人間臭いというか、カジュアルな神様なんです。
その後も、マウリが村人に強姦されそうになって激怒してもマウリの涙の訴えに怒りはあっというまに萎んだり、村人に対しては「マウリはダメ〜!!!」ときっちり釘を刺したりと、もうすっかり嫁(=マウリ)にメロメロ。速攻で村に女を取り戻し、マウリに「もう男の相手をしなくて良いんだな」と見せた顔は、簡単にデフォルメされた線目なのに最高のドヤ顔でした。
コミカルなキャラのせいか、時々ギャグ絵で表現される神様は、まるで一反木綿のようなシンプルさ。時々、これって竜だよね?と突っ込みを入れたくなる可愛らしさ、というより可笑しさに溢れています。そして想いの通じた相手と同じ種族に姿を変えるという巡り神の特性で、人間の姿になった神様は綺麗で男前だなんて、ギャップがまたいいですね〜。
描き下ろしでは、マウリが苦労して取ってきたアンズを全部食べちゃって、麦藁帽子と虫取り網と虫かごという夏休みの小学生スタイルで「一緒にとりにいこう」とご機嫌をとる姿も披露。ほんの数ページ前のエロい姿からは想像もできません。この組み合わせ、また読みたいわぁ。
他の巡り神は、白ヘビ、小鳥、馬と、バリエーション豊か。みんな好きな相手のために一生懸命です。特に白ヘビの神様は相手に嫌われたと思い、欲しがっていた「ぴーえすぴー」で謝るつもりが入手できず、岩屋に引きこもってべそべそ泣いて大雨を降らせるヘタレちゃん(笑)。無事に想いが実ると一週間も虹が出続ける、なんとも愛らしい神様です。
でもこのシリーズの一番凄いところは、可愛いばっかりじゃない点かもしれません。ラストの馬の巡り神の話は、ラストはちょっぴり哀しく優しい予想外の展開。次の世代へと形を変えて繋がっていく、前向きなラストです。人間も例外じゃなく、巡るものなんですねぇ。
ところで、気になったことが一つ。3話目の小鳥の神様の話で、初めて姿が変化した神様に、白ヘビが「抱いてやれよ」とけしかけてるんですよね。これって、神様は常に抱く側ってこと?小鳥のお相手は凄腕の猟師で、体格的にはどうみても小鳥が下なんだけどなぁ。う〜ん、気になります。
リブレ出版 2013-05-10