ハッピーボウルで会いましょう (ディアプラス文庫)
不動産会社責任者・仲條則之(なかじょうのりゆき)×プロボウラー志望・松田風斗(まつだふうと)
《感想》
いわゆる職業物BLです。BLの定番職業といえば、会社員・公務員・医者・弁護士・実業家・ヤクザ、が王道。そんな中、他社に比べてディアプラス文庫って、漫才師・ジョッキー・野球選手・釘師など、知ってはいるけどあまり身近でない職業が多い気がしませんか。そして今回もプロボウラーという、コアなお仕事が登場します。
といっても、風斗はまだ見習い。あくまでプロを目指して頑張ってる最中です。業界に影響力のある師匠のセクハラを拒んだために、プロテストを受ける道すら絶たれそうな、悩める青年です。経営不振から取り壊されそうな地元のボウリング場を守ろうとして出会ったのが、相手側の責任者・仲條でした。
仕事は有能でも私生活は軽い仲條でしたが、真っ直ぐで努力家で他人をバカにしない風斗にあっというまに心を奪われます。できるオトコが本気になると凄いんですねぇ。しかも運動だけは壊滅的に苦手というオチもいい個性で、そんな仲條に風斗も惹かれます。
その後BLお定まりの誤解とすれ違いがあって、2人は想いを告げあいます。風斗のプロボウラーへの道も新たな道が開けそう、となって前半は終了。後半は、恋するオトコ・仲條目線で話が進みます。
個人的には、この後半が楽しかったですね。仕事に関してはやり手の仲條が、年下の恋人のことになると盲目状態になって大暴走。同居したいと言い出せない代わりに自分が買ったマンションを賃貸と偽って風斗に貸したり、風斗の新しい師匠に嫉妬して暴言を吐いたりと、なんとも大人げありません。でも好きな相手だけには取り繕った対応ができないという、ギャップが可愛いじゃありませんか。
この程度なら、逆切れしてゴーカンしたり監禁したりするキャラも多いBLワールドでは、常識的なほうといえるかもしれません(笑)。すぐに反省して斜め方向の謝罪行動もしてますし、ね。仲條はこれからも暴走して風斗に怒られつつ仲良く暮らしていくんだろうなぁ、とほのぼの思える楽しい作品でした。