ファンタスマゴリアの夜 (幻冬舎ルチル文庫)
バーオーナー・永見嘉博(ながみよしひろ)×現貸金業経営・束井艶(つかいえん)

《感想》

ファンタスマゴリアって何?これは本作タイトルを見た人のほとんどが思ったはず。私は、地名か店名、白夜やハロウィンみたいなある特定の条件の状況や日を示す言葉なんかを想像しました。正解は作中にも出てくる、走馬灯。子供の頃に祖母の家で見たときは、回り灯籠と呼んでたっけ。当然暗いところで楽しむものなので、不思議な雰囲気だったのをぼんやり覚えています。

話は艶目線で進みます。艶という変わった名前は、元アイドルの母の願望そのもの。天使のような容貌でキッズタレントとして名を馳せますが、とある事故をきっかけに引退し、その頃に永見と友人になります。これが小学生の頃のことでした。その後、いろんな出来事が重なって2人はというか艶は永見から離れ、そして8年後。同窓会で再会します。

街金という綺麗だけではすまない仕事に艶の心は疲れながらも、ただ社員の為に必死に立っています。そんな艶をさりげなく包む永見は、包容力のある男性というイメージでした、最初は。実は優しいだけじゃなく、激しすぎる情熱の持ち主でもあったんです。それが解るのは後半に艶が、芸能界引退に因縁がある相手の絡む事件に巻き込まれてから。

永見は子供の頃からの夢だったバーを手放して、大切な艶の名誉を守るためだけに大金をつぎ込みます。こんな激しい愛情の示し方は、理性のある優しいだけの大人なら絶対にできません。執着とか執念とか、もっと強くて重くて揺るがないものがあります。

ファンタスマゴリアは、再会の象徴。同じ絵が何度も巡るように、一度は手放した相手に本音を伝えるチャンスが訪れます。でもここで手を伸ばさなかったら、一緒に眺めることはなかったはず。これだけの愛情を示した永見に艶は素直な想いを返し、ようやくすれ違った二人がまとまります。

元気一杯の話も好きですが、大人が主人公のしっとりした話もやっぱりいいですね〜。過去の失敗やいろんなしがらみがあって動けないもどかしさ、このじわじわした感じがなんともいえません。あ、もちろんラストはハッピーエンドでお願いします。切なさがずっと続くのは、体力的に無理なので(笑)。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)父の跡を継ぎ、貸金業を営む束井艶は、同窓会で幼馴染みの永見嘉博と再会する。小二の頃、人気子役だった束井はある事故をきっかけに仕事を失い、なぜか似合わないワンピースを着た永見と出会った。学校でも浮いた存在の二人は友達に。小五のとき、永見に突然告白されて振ってしまった束井だが、中学、高校と成長するにつれ惹かれていき…。
(Amazon「内容」より)

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