異界の王 (アズ・ノベルズ)
ダリア国王・冬宗(とうしゅう)×フリーター・信濃桜貴(しなのおうき)

《感想》

関東もいよいよ梅雨入り間近になりました。天気予報を見ても、曇や雨のマークばかり。高温多湿に弱い私にとっては、外出が厳しくなる季節です。代わりにBL読書時間が増えるから、まぁいいか。

今日の本はタイトルそのまんま、異世界ファンタジーBLです。人間界で暮らす桜貴が事故をきっかけに異世界に飛ばされる…という王道ど真ん中な始まりです。なら、桜貴は異世界を救うといった重要な使命を背負っているはず。ところがこの作品は違いました。

確かに桜貴は、冬宗の嫁として神に指名された人間です。でも特殊能力はなく、セックス大好きのマイペース。周囲から王の嫁として扱われても、自分がしたくないことはしない、と宣言しています。それは王である冬宗に対しても同じで。冬宗が強引に押し倒せば拳でしつけ、酔ってやりたいときは冬宗の両手を括りつけて上に乗っかるという、なんとも男らしいというか破天荒なお嫁さんなんです。ここ最近では三本の指に入るぐらい、お気に入りツボを刺激してくれるキャラだわ。

冬宗はというと、大切な姉を隣国の人質として亡くしてから、闘うことで心の隙間を埋めようとしてきました。でも強大になるほど周囲との摩擦は大きくなる一方で。そんな冬宗にとって、自分の意思でそばに居ると言い、自分の気持ちに素直に振舞う桜貴の存在は、信頼できて安らげる場所になるのも当然です。しかも体の相性は未体験レベルにピッタリ、ときてはもう手放せませんよ。

桜貴も、精神的に強いようで実は心の中にぽっかり開いた部分がありました。最初は自分の気持ちを自覚していませんが、戦で冬宗と離れることで本心に気付きます。いなくなって初めて気付く、っていうヤツですね。めでたく両想いになって神様ズにも祝福され、最強のカップル誕生です。

こんな感じで定番じゃないファンタジーですが、私はとても楽しめました。この話、まずは今回カップル成立がメインだったのか、あまり事件らしいものはありません。でもクセのありそうな神様達や冬宗の兄弟、対立する国々や後宮の女性など、伏線が張られてる気がするんです。これはもしかして、シリーズ化もあったりして。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)「おまえの花嫁は、こいつだ」―目を覚ました桜貴は、ダリア国の王・冬宗に花嫁として与えられていた。いつの間にか異世界に飛ばされ、花嫁と定められたことに不満を抱きながらも、好みの美貌と躯をもつ冬宗に惹かれる桜貴。一方、神託によって男の桜貴を娶るはめになり憤慨していた冬宗も、奔放な性格の桜貴に戸惑いつつ、その躯にのめり込んでいく。シンの始祖に、そしてダリアの神に選ばれた二人の行く末は!?―。
(Amazon「内容紹介」より)

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