世界ボーイズラブ大全 「耽美」と「少年愛」と「悦楽」の罠 (文春文庫)
《感想》
いかにも「今の流行にのっかりました」みたいなタイトルですねぇ。世界の名作BL本を集めた作品集のようにも見えます。実際の内容は、歴史上実在した有名人や組織の同性愛ライフを取り上げたエピソード集。残っている記録を元に書かれているので、小説のような創作はありません。
時代別に大きく6つに分けられ、その時代の同性愛に対する社会概念とエピソードをピックアップ。日本については別章でまとめられています。同性愛者として有名な人物からちょっと意外な人物まで、バラエティーは豊か。特に20世紀以降は残されている記録も多いせいか、かなり詳しく書かれています。
BLワールドではビッチよりも一途に相手を想うキャラが多く人気もありますが、現実はもっと奔放でドロドロ。まさに「事実は小説より奇なり」をそのまんま実行したような、ドラマティックな展開にはびっくりです。
作者の桐生操さんといえば、「やんごとなき」「本当は怖い」といったシリーズ。やや固めのですがコンパクトにまとめられた文章は読みやすく、通勤通学の電車でよくお世話になってました。
内容は史実として面白いのに、やっぱり残念なのはタイトル。思ってたのと違う!と買ったことを後悔する人が多いんじゃないかと。BL小説とは違った面白さがあるので、ぜひ最後まで読んで欲しいな〜、なんて余計な心配をしてしまいました。