草食むイキモノ 肉喰うケモノ (二見書房 シャレード文庫)
工場勤務・関目政之(せきめまさゆき)×工場勤務・牧野幸弥(まきのさちや)

《感想》

表紙の黒ヒョウと背中に乗っかった白ウサギのイラストが、いい味出してます。まさしく主人公達の関係が一目瞭然。実際にこういう光景があったら、テレビで引っ張りだこになりそう(笑)。

その表紙には、主人公カップル以外にもうひとり(右側のメガネの彼・千林)が描かれています。「え、この話って3Pだったの?」とちょっとビックリしましたが、違いました。攻めの気持ちを知っていてフォローし、受けの成長を手助けして温かく見守る同期、というポジションでした。こういう立場の人がメインと同じ扱いで表紙にのるってちょっと珍しいですね。

牧野は中学卒業後、すぐに就職して寮に入りました。その前も両親を亡くしてからまともな家庭環境ではなかったため知識を蓄えられる状況ではなく、要領も良くはないので苦労してます。でも着実に前に進む真面目さと素直さそして我慢強さは、ウサギというより亀のイメージ。こういうタイプは、守られるかターゲットにされるか、どちらかがなんです。

関目と千林は前者で、牧野を良く理解しています。ところが上司が後者でセクハラターゲットにされてしまったため、牧野は悩まされることに。そのおかげで関目との距離がぐっと縮まったので結果オーライなんですけどね。上司がはっきり断罪されなかったのはちょっと残念ですが、実際こういう曖昧な処分も多いんでしょうね。

牧野の苦しみを知った関目が限界まで紳士でいようと努力する様子は、ちょっとコミカルでもありました。超据え膳を目の前にして、よく耐えたもんです。相手は多情な生き物・ウサギですから、ベッドでは獣モードも解禁できそう。むしろ、新しい世界へ連れて行かれたりして(笑)。

ここからはおまけ情報。作者さんのブログでweb拍手をぽちっとすると読めるSS4種類の中に、本作のSSも入っています。本編中のエピソード、牧野が関目からガムをもらったいきさつです。対等の存在として自分を認めてくれた関目だから、牧野もあんなに無条件で懐いてたんですね〜。
 →今城けいさん 公式ブログ 「I-CASTLE」

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)家族を失い叔父に引き取られるも、身の危険を感じ中卒で独り立ちした幸弥。同じ工場に勤める組立一課班長の関目は、頼れる兄貴分のように幸弥のことを気にかけてくれていた。そんな幸弥の目下の悩みは工務部長・大谷のセクハラ。エスカレートするそれに気づいた関目は同僚の千林の協力のもと、幸弥の部屋に泊まり込むことに。幸弥の質素でつつましい暮らしぶりや小動物のようなたたずまいに、十代はヤンチャで鳴らした関目の庇護欲は次第に捕食欲とないまぜに――!?
(Amazon「内容紹介」より)

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