春へ (ダリア文庫)
画家・工藤旭(くどうあさひ)×高校生・小嶋十希(こじまとき)

《感想》

いつの間にか朝丘さんて「。」が取れてたんですね。全然気付いてませんでした。モー娘。も取れる日が…きっと来ないな(笑)。

主役カップルの関係はなかなか複雑。十希の亡くなった父の高校後輩が旭です。学生時代に二人は親友でしたが、父の「恋かもしれない」という告白を旭が「裏切り」と捉えたことから疎遠に。出せなかった手紙を十希が見つけて父に聞いたことから、二人の話を教えられてます。父が亡くなり、その後悔を晴らそうと十希が手紙を持って旭を訪ねるところから物語は始まります。

旭にとって、仕事にも自分の性格にも理解がある十希はまさしく理想のタイプ。こんな子が「好き」って慕ってくれたら、落ちても当たり前でしょう。料理も上手だし、こんなお買い得物件は人生で2度と出会えないはず。自分の中の同性に対する拒否感を乗り越えるだけの価値は、十分にありますよ。

でも私は、その十希の妙に物分りのいいというか裏読みできるところに引っかかりました。なんだかね〜、変に歳を重ねた人生の経験者っぽくて。高校生っていう設定じゃなかったら、こんなに気にならなかったかも。十希が旭に拒否されても懲りずに迫ってるシーンの方が、がむしゃらな少年らしくて、おばさんには安心できました。

ようするに、私が歳とっちゃったってことなんでしょう。お肌つるつるの頃だったら、きっともっと感情移入して素直に読めたんではないかと。あ〜なんだか寂しい…。

旭の後輩として登場した秋山とその恋人・美里(男)は、なんだかサイドストーリーがありそうなので探してみたら、やっぱりありました。「春恋。」という作品の主人公カップルで、9年前の作品になります。レビューによると、作者さんサイトに掲載されている続編を続けて読むのが鉄板だそう。まずはサイトだけチェックしたい、という方は、こちらからどうぞ。
 朝丘戻さん公式サイト 【TEARS+】

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)俺は手紙を届けにいく。父さんが昔、渡すことのできなかった大切な人への手紙を―…。高校3年生の小嶋十希は父を亡くし、工藤旭のもとを訪れた。彼はかつて父が恋をした相手であり、十希にとって道標となる絵を描いた、憧れの画家でもあった。しかし、旭は十希が息子だと知ると「帰れ」と拒絶してきて…。雪の降るころ、一通の手紙から始まる恋のはなし。
(Amazon「内容」より)

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