マーメイド・ロマンス (セシル文庫)
火の国王太子・バーミリオン=アポロ=コーラル×海の国王族・セレスト=アルカディア
《感想》
マーメイドって、女性人魚なんですね。男性の場合は、"merman=マーマン"だそうです。そうするとこの本も「マーマン・ロマンス」になるわけで。なんだか、お母さんのメロドラマっぽくなっちゃうし、そもそもマーマンって言葉に馴染みがないから、やっぱりマーメイドが正解でしょう。細かいことはぶっ飛ばすのが、BL世界の常識ですから(笑)。
マーメイドとタイトルにつくように、アンデルセンの「人魚姫」をベースにした内容です。主人公は男の子かつ人間とのハーフという、ちょっとしたひねりはあります。だから内容も、しんみりしっとりというよりは、元気のある感じ。童話では悲恋ですが、BLではハッピーエンドなのもお約束ですね。
火の国のお家騒動が絡み、文庫本にしてはボリュームがあります。セレストことセリが珠を渡した相手は一体誰という謎解き要素は、BL読者にはすぐ推測できます。後半部分はいろんな要素をぎゅ〜っと詰め込んだ感じで、急激に話が展開するのには、ちょっとびっくりでした。お姫様もいきなり現れるし。
結婚に関する2人の認識の食い違いシーンは、すぐに山藍紫姫子さんの「イリス 虹の麗人」を連想しました。山藍作品の中では穏やかで甘くて読みやすいのでお気に入りで、繰り返し読んだ本です。書類はちゃんと読んでからサインしましょう、2人とも。もっともそうしたら話が半分以下になっちゃうんですけどね。
ラストにその後の主人公カップルの幸せな生活を連想させるエピローグがついてて、これは嬉しかったです。
コスミック出版 2012-01-20