ダブル・バインド (キャラ文庫)
警視庁刑事・上條嘉成(かみじょうよしなり)×臨床心理士・瀬名智秋(せなちあき)
東誠会若頭・新藤隆征(しんどうたかゆき)×愛人・葉鳥忍(はとりしのぶ)

《感想》

完結してからの一気読み、と決めてたこのシリーズ。1巻が出てから1年以上、積読山に埋れてましたが、めでたく4冊で完結しました。1年ちょっとで4冊というのは、BLシリーズ物としてはなかなかのハイペースだったんじゃないかなぁ。短期間で一気に締めてくれた英田さんには、感謝です。

刑事・ヤクザ・事件×英田さん、とくれば「エスシリーズ」をまず思い出す方が多いはず。私もそんな一人で、やっぱり比べてしまいます。あちらはダーク系&痛みの強い作品でしたが、こちらはもう少し読みやすいというか、柔らかい感触を受けました。レーベル色がそのまま作品に反映されたんでしょうね。どちらが好きかはお好みで。とっかかりやすいのは、こっちかな。

内容は、猟奇連続殺人事件の捜査が軸で、それに上記2カップルの恋愛が絡む展開。それぞれの関係は、智秋と新藤は従兄弟(実は異母兄弟)でかつての恋人、上條は智秋の高校の部活の先輩、葉鳥は死にかけたとろを新藤に助けられそのまま愛人に、という過去があります。主カップルは上條×智秋。これに、別の理由で事件を追う新藤×葉鳥(というかほとんど葉鳥)が関わってくるわけで。

ミステリの要素がきっちり抑えられてるので、謎解きも楽しめます。やはり主要人物でありえないぐらい悲惨な過去を持つ祥(=ヒカル=ケイ)も魅力的だし、周囲の人物はみんな思わせぶりで、3巻目までは誰が犯人か想像がつきませんでした。

そしてラブ面では、重要な攻めさんがどちらもいい男なんです。上條は基本的に素直かつおおらかで、根っこはどっしり安定したタイプ。智秋との恋愛につていは多少あがきますが、腹を括ってからのその懐の広さは、過去の経験から恋愛で傷つくことに怯える智秋には、ピッタリです。コミカルな2人のやり取りも楽しかったし。

新藤は「本当に極道?」って思うぐらい一途な人。こんな彼に心底想われるほど不安になる葉鳥は、とても可哀想でした。最初はただの憎たらしい小僧だったんですけどね。死にかけたことで、自分にとって本当に大切なことをつかめたようです。事件が重いラストだったので、カップル達&祥が前向きになって、本当に良かった。

こんな感じで、4冊あっというまに読了しました。溜めて一気読みして、やっぱり正解。だって、途中で「待て、次巻!」になってたら、気になって仕方なかったでしょうね。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)夢の島で猟奇的な餓死死体が発見された!?捜査を担当することになったのは警視庁刑事の上條嘉成。鍵を握るのは第一発見者の少年だ。ところが保護者として現れたのは、臨床心理士の瀬名智秋。なんと上條が高校時代に可愛がっていた後輩だった!!変貌を遂げた瀬名との再会に驚く上條だが…!?謎の連続殺人を機に一度終わったはずの男達の運命が交錯する―英田サキ渾身の新シリーズ。
(Amazon「内容」より)

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