溺れる体温 (リリ文庫)
居酒屋店員・リョウこと遠藤征人(えんどうまさと)×新聞記者・七飯章吾(ななえしょうご)

《感想》

廃刊になったBLレーベル作品の文庫化再販、最近増えてますねぇ。中古で高い値段がついてるような作品や、価格は安いけどあまり見かけない作品が読みやすくなるのは、嬉しい限り。どんどん出してくださいね〜。

元は「黒ラキ」と呼ばれていたエロ度高めレーベル作品なので肌色シーンがとっても多く、冒頭もいきなり艶トークからスタートします。じゃぁエロメインの話かといえば、そうでもありません。病気で亡くなった七飯の兄が死の間際まで気にかけていた事件の関係者を追う、というちょっとミステリーな要素がしっかり効いてます。具体的なネタバレは面白さが半減するので、今回はなし。といいつつ、実は既に大きなネタバレてたりして。

もうすぐ時効になるというタイムリミットもあって、焦りや緊迫した空気がぴりっと漂います。おかげでいちゃいちゃシーンの甘さが、より一層際立つというもの。ちょっとギャップが大きすぎるぐらい七飯がめちゃくちゃ可愛くなって、まるで別人さんです。新書よりも可愛らしい、というか華奢な感じになったイラストのせいもあるのかな。

実はこの本、旧版の新書でシリーズ全作既読なんですよ。だからちょっと迷ったんですが、書き下ろしが充実していることを知って、やっぱり購入。お目当ては50P程度あり、読み応えがありました。本編は七飯目線で進みましたが、書き下ろしはリョウに主人公が交代。本編ラストは秋だったのが春に季節は進み、リョウ救済話になってます。あ、もちろんエロもがっつり(笑)。

結局買って良かった〜。主人公両方の心情を読めることで、話がより深く納得できるものになりました。より傷が深いのはリョウのはずだし、その彼が気持ちの上で前に踏み出せたのは、とても大事なこと。なので、今から買うならこの文庫の方がお薦めです。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)七飯章吾は、敬愛する兄の死で彼の悔恨を知る。15年前の親友の死。殺人事件。兄の遺志を継ぐべく新聞記者となるが、現実に頽れそうになった時、リョウに逢った。逢えたのだと思う。端整でクールな容姿に無邪気で無防備な優しさを持つ子供のような、リョウ。一途にふれてくる熱い唇。抱きしめられ蕩かされ甘やかされても尚、際限なくリョウを欲しがる自分が疎ましい。タイムリミット直前、七飯は真実の欠片“征人”に辿り着くが!?たっぷりの書き下ろしあり。
(Amazon「内容」より)

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