唇に嘘が滴る (アズ・ノベルズ)
裏の男・燈吾(とうご)×男娼・城崎香鳥(きざきかとり)
《感想》
ぐるぐる迷走していた台風が、一直線に向かってきてますね。予報では今日は終日雨なので、大人しく家の中でBL三昧で過ごしたいと思います。
さて今日の感想は、裏社会を牛耳ろうとする男×男娼、です。実世界ではなかなか出会うこともない方々なので、妄想を膨らますにはぴったりなんでしょうね。BLワールドでは、比較的良く見かけるカップリングです。
香鳥はマフィアと関わった亡父の借金のカタで男娼に、という定番パターンですが、その相手のマフィアは燈吾ではありません。父の敵を討ちたいと願う香鳥が、男娼としてのし上がる為の最初の練習相手として選んだのが、街で見初めた燈吾でした。
最初の出会いはちょっと唐突な感じがありますが、その後の2人の再会以降は、いいテンポで話が進みます。そのときの2人の肩書きは対立組織のトップに属するものなので、いちゃいちゃシーンは少なく、特に香鳥は男娼なので燈吾のボスのお相手を務めてます。だから、1対1のらぶらぶが読みたい方には、ちょっと向いてませんね。私は自分で立ってる受けさんが好きなので、目的の為に卑屈にならず顔を上げて頑張る香鳥はとっても好みなんですよ。
そんな香鳥に実は一目惚れしときながら男娼に仕立てる燈吾も、いわゆる白馬の王子様じゃありません。本人の本気を知って、逃がすよりも立ち向かう手段を与えたってことなのかな。複雑な育ち方をしているので、愛情表現も一筋縄じゃいかないんでしょう。
最後は香鳥がここ一発の本気を最発動して、燈吾に認めさせました。これからも決して平坦ではないであろう2人の今後については、続編希望します。燈吾の組織内で実力で足場を固めていく香鳥とか、できれば読んでみたいなぁ。
イースト・プレス 2011-07-01