午前五時のシンデレラ (ディアプラス文庫)
釘師・飛良猛(ひらたける)×パチンコ店従業員・桜井優也(さくらいゆうや)
※中篇シリーズ2作です。

《感想》

いつきさんの方言作品第一弾、やっと再読できました。やっぱりいいわぁ。

話は基本的に優也目線で進みます。パチンコ店の住み込み従業員となった優也は、元々は小倉のお嬢様学校の教師でした。そこで生徒を妊娠させた疑いをかけられ、まったく身に覚えがないのに自分の言い分を信じてもらえないことに無力感を覚え、退職。やっと見つけた職でした。

このパチンコ店に釘師として毎日出入りしていたのが、飛良です。この飛良の方言が、北畠さんのイラストと見事な相乗効果でめちゃくちゃいいんですよ!色気があって、でもまだ枯れてなくて血気盛んなところもちらほらあるという感じが、滲み出てます。初H(かなり無理やり)も飛良の誤解がきっかけでしたしね。

こう書くと、優也は押しの弱い流されタイプに見えますが、全くそんなことはありません。自分の芯はきちんと持っていて、仕事はきっちりこなします。たとえ相手が怖くても意見ははっきり言うし、投げやりにならないし。飛良絡みのいざこざに巻き込まれても、自ら脱出路を切り開きます。まさしく、私好みの受けさん、理想の姉さん女房ですよ。

そんな優也がちょっと不思議なのは、周囲も方言なのに彼は標準語を話してること。元の職業のせいかなぁ。でも優也ってあんまり背景の説明も無いんですよね。家族構成とかもなかったような気が。このあたりは、もう少し読みたかったかも。

こんな2人は、一山超えて強くなりました。だから飛良の大切な兄貴分が出てきても相手の狡猾な脅しに乗らず、お互いの信頼があるから、きちんと事実を伝えることができたわけで。一生を過ごす覚悟もあり、とても潔い話でした。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)ヤクザ崩れの釘師・飛良と、ドロップアウト教師の優也が出会ったのは、レトロなパチンコ店だった。危険な匂いのする釘師になぜか目をかけられて、優也は徐々に新しい職場に馴染んでゆく。だが元生徒の父親が店に乗り込んできたことから、優也は飛良と偽装同棲をする羽目に…!?待っていたのは、今までの価値観を百八十度変化させるような日々―北九州・小倉の街を舞台に繰り広げられる、男たちの人生ゲーム。
(Amazon「内容」より)

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