十の願い (クロスノベルス)
デベロッパー会社社長・創馬直人(そうまなおと)×タバコ屋息子・乃坂深夜(のさかしんや)
《感想》
人生で十の願いが叶うなら。ちょっとしたことでもすぐに「神様助けて〜」って思う私には、とっくに過ぎてしまった数字ですね。とりあえず今の願いは、ずっと楽しくBLが読めますように、かな。心に余裕がないと、BLって楽しめませんから。
このタイトルは、本作の主人公の乃坂が、親からネグレクト&DVを受けた自分を引き取ってくれた義父に、その願いを書くノートと共に言われた言葉です。これから願いが叶うという希望を与えてくれた、大切な生きるより所でした。
その義父も亡くなり、義母と二人暮しをしていたところに現れたのが創馬です。土地を再開発してマンション販売をする目的、近隣調査に来ていたんです。こう書くとBL的展開では、創馬=やくざ、と思いがちですが、一般的で常識的なデベロッパーです。
乃坂は、義母が倒れたとき、そして亡くなってからも自分を気にかけてくれる創馬の惹かれ、少しでも傍にいるために行動します。それが健気で一途なんです。だからこそ創馬の見合いが持ち上がったとき、十番目の願いを書いて想いを叶え姿を消すという行動も自然です。そしてラストは、もちろんハッピーエンド。
これって男×男じゃなくてもよかったかな〜と。乃坂のキャラやセリフはそのままで性別だけ女性にして、自分とは立場が違うと思って身を引く、にしてもほとんど違和感がないんですよね。身の引きっぷりや潔さは好みだったので、それがちょっと残念でした。