千―長夜の契 (花丸コミックス・プレミアム)
剣豪・草薙主悦(くさなぎちから)×座頭・千戴(せんさい) ほか
※短編シリーズ集です。

《感想》

まるで青年向けコミックのような表紙デザインが、かっこいいですねぇ。内容も、青年誌に掲載されてもおかしくない骨太ストーリーです。岡田屋さんの描くがっしりした体と色っぽい目そして動きのある絵が、これまた時代劇にぴったりはまって最高〜!

魂を喰うのと引き換えに人の願いを叶える能力を持つ千戴が、とある仕事をきっかけに、剣豪で浪人の草薙と知り合い道連れになるのが、1巻です。なので、二人が主役というよりは、二人とかかわる人々がその都度メインに。

魂を喰われるというのは、この世に生きた証や記憶が消え輪廻からもはずれるという、まさに消滅してしまうこと。それでも引き換えに望みをかなえて欲しいという人はいます。そしてその願いは、3話目で千が語るように「己の為ではなく、大抵人の為」なんです。このセリフに人の本質が凝縮されているようで、とても切ない気分になりました。けれど読後感は決して重いわけではなく、重厚なテーマをさらっと描きつつ、肝心なところはきっちりと押さえてあるのは見事です。

毎回のあれこれは、単純ハッピーエンドではないけれど1話でオチがつきます。でも、二人の背景は謎のまま。今のところ明らかなのは、千は不死人で神から罰を受けていること、草薙が何らかの理由で浪人になったこと、草薙は千の能力が見えたり影響を受けないこと、これぐらいでしょうか。めちゃくちゃ気になりますが、今後の続編も決定しているとのこと。早く読みたいよ〜。

◆あらすじ(Amazonより)
願いを叶える代償に、その者の魂を喰う謎の座頭・千載。奇妙な縁で出会った剣豪・草薙とともに人々の命を賭けた願いと向きあっていく…。妖しく強く、BLの枠を超えた壮大な物語が始まる!!

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