溺れる人魚 (ディアプラス文庫)
鍼灸師・桂貴聖(かつらたかまさ)×大学生・羽角眞生(はずみまき)

《感想》

昨日に引き続き、溺れてます(笑)。普段書くことも目にすることも少ない漢字なので、妙に印象に残りました。「水に弱い」で溺れるなんて、漢字って奥が深いです。

遊び人×芯の通った純情青年という、あるといえばある組み合わせです。でも眞生が本当に男らしいというか、真っ直ぐな心を持っていて、とても読み応えのある硬派な内容だと感じました。

桂も仕事には真面目ということは、元々そういう性質を持っているはず。でも本気になれる相手に出会わなかった(出会おうとしなかった?)から、適当な恋愛を繰り返していたのかもしれません。そしてそのいい加減な恋愛のツケは、しっかり自分に返ってきます。

後半、桂のことを「信じられない。信じさせてくれ。」と叫ぶ眞生は、とても痛くて哀しかったです。それに対する桂の対応が、本当に眞生を信じさせるに十分だったかといえば、個人的にはちょっと疑問。信頼って壊れるのは一瞬で、得るには年月をかけて積み上げるしかないと思うので。本当に大切な相手に出会えた桂が変わると、信じたいです。

ところで、いつきさんの九州弁といえば「午前五時のシンデレラ 」がありますよね。今回、眞生が話す九州弁もとても合っていて、話の奥行きを深めていたと思います。方言作品って、もっとあってもいいと思うんですが、どうでしょう。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)原因不明の足の痛みを抱えた水泳選手の眞生は、大学の水泳部を休部し、スイミングクラブで講師のバイトをしている。そのバイト先に現れたのは、派手な見かけで優雅な古式泳法をつかう男、桂だった。鍼灸師の桂は、眞生の病に癒しの手を差し伸べてきた。だが桂は私生活では遊び人で、眞生に対して恋愛ゲームをも仕掛けていたのだ。そんな男の手管に、知らずに落ちる真生だったが…?タラシ鍼灸師×純愛スイマーの恋。
(Amazon「内容」より)

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