金曜日の凶夢 (ガッシュ文庫)
バイオリン奏者・紀ノ川滋(きのかわしげる)×未来人・酒元良麻(さかもとりょうま)
※リンク作あり。感想はこちら→「水曜日の悪夢

《感想》

さてさて、予告どおり続編です。うぉ〜こうなるのか、と驚きました。きっちり前作とつながってますので、順番どおりに読むことをお奨めします。以下、前作にも関わるネタばれありますよ〜。

前作では当て馬で終わった紀ノ川の救済話です。前作はオカルト風味で、キーになるタイムリープについて殆ど説明がありませんでした。でも今回はきっちり解明されてます。そのおかげでSF作品になりました。

実はタイムリープは、未来の人間である良麻の妹が起こしたものでした。前作のタイムリープによって救われたのは阿川親子だと私は信じてましたが、本当は新城を助ける為のものだったんです。

元のままだと、父を殺して服役した真吾が出所した時に新城と紀ノ川は恋人同士で、逆上した真吾に新城が殺されてしまうことに。新城の音楽に傾倒していた妹は、タイムリープにより新城が死なずに音楽を続ける別の世界を創り出したんです。そう、これは本来あるはずの世界とは別の「パラレルワールド」になっていたんです。

でもこれは本来許されない行為であり、パラレルワールドが本来の世界とかけ離れた結果にならないよう、監視役として兄の良麻が送り込まれたわけで。特に警戒する事項は、子供を作ることでした。本来の世界では、紀ノ川は新城の死後独身を貫くので子供はいないんです。存在しない人間を生み出さないよう、良麻は新城に似た顔に整形して、紀ノ川の気を惹こうとします。

この紀ノ川、愛すべき独特のキャラでした。どれくらい妙かは、ラストの稲荷家さんの後書きイラストが一番的確かと(笑)。きっちり音楽家らしいところもあり、特にその耳はラストのハッピーエンドに生かされるなど、設定にすべて筋が通っているんです。こういう話って、下手をすると風呂敷広げすぎて読者は置いてきぼりになるんですが、そういうモヤモヤはありませんでした。うん、凄い。

前作カップルのその後もちらっとありました。相変わらずのようで、真吾はあまり世界に影響しないらしく、未来人からも放置されてます(笑)。でも本来の世界だと新城を殺すとは、やはり本質はそう簡単に変わらないようで。この世界では、新城と一緒にそれなにり穏やかにやっていけそうでよかったぁ。

しつこいですが、前作を読了したときに続編がこうなるとは、まったく予想できませんでした。あまりに見事なので、ある種の爽快感まで感じましたよ〜。今後もこういう作品を、どんどん世に送り出して欲しいですね。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)有名バイオリン奏者・紀ノ川滋の行動を監視すること。―それが良麻に科せられた使命。紀ノ川の想い人そっくりの顔になり音大に潜り込んだ良麻。紀ノ川に近づき、マネージャーの仕事も任されて、親しくなることに成功するが、良麻の心は揺れていた。何故なら彼は、ずっと憧れの人だったから。別の誰かに心を奪われるくらいならいっそ身代わりでもいい、抱いてほしい―。切なくも狂おしい恋物語。
(Amazon「内容」より)

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