好きで子供なわけじゃない (キャラ文庫 ひ 2-9)
輸入食材店経営・小刀根剣介(ことねけんすけ)×高校生・真藤広野(しんどうひろの)
《感想》
文庫ながら厚みがあり、ボリューム満点です。これは読むの時間かかりそうだわぁ、と思っていたら予想外にすらすらっと読了しました。テンポよく読めたからでしょうか。
単なる年の差幼馴染LOVEかと思いきや、意外と奥が深かったです。広野の母の異様なまでの過保護や、電話を怖がる広野といった伏線がラストにきっちり拾われ、広野が子供の頃にあった誘拐暴行事件につながります。この辺がスムーズだったので、メインの恋愛話に集中できました。
12も年下の高校生相手に関係を進められない剣介の気持ちが、しみじみ解りました(笑)。だってねぇ、16才ってやっと世界が広がりはじめる年齢じゃないですか。いろんなものを見て多くの人に会って、今までとは違う価値観が芽生えたり。そんな時期に好きな相手の選択肢を狭めるようなことはことは、したくなかったんですねぇ。でも本音は自分だけを見て欲しいわけで、大人もいろいろと大変なんですよ。
一方の広野は、本当に一途で可愛いんです。自分がまだ子供だから応えてもらえない事が良くわかっていて、でもどうしようもなくてジタバタして、精一杯の誘惑をして。無言電話で自分を怖がらせた友人を受け入れるなど、とても柔らかい精神をもっています。想いが実った今後は、ゆっくり二人で世界を広げていくことでしょう。
ということで、事件と恋愛がいいバランスで収められた1冊でした。
以下は、「花嫁宣言」2010.04.02拍手お礼です。
「花嫁宣言」に拍手ありがとうございました。
火崎さんの本の感想も、いつの間にか20冊に。自分が一番ビックリです…。自立した受けと一人称という、他の作家さんにはない魅力があるんですよね。多作な作家さんですが、可能な限り追いかけたいと思います。