やさしい傷跡 (ヴァリオノベルズ)
中古車ショップ店員・宇多田志朗(うただしろう)×童話作家・槙原宙彦(まきはらそらひこ)

《感想》

今から10年前の作品です。タイトルどおり、優しいBLでした。

二人はそれぞれ体と心に傷を負っています。宙彦は中学生のときに家族を一瞬で失い、財産を争う親族の醜さを見せ付けられました。生前の祖父の配慮で財産は守れたものの、その後も財産目当ての人間があとを絶たず、すっかり人間不信になっています。

一方、志朗は大切な友人を事故で亡くしました。やんちゃからの暴走によるもので、決して志朗の所為ではないのですが、友人の家族から責められ、地元を離れました。宙彦と異なるのは、その時に親身になってくれる人が傍にいたこと。だからまっすぐ前を向いていられるんです。

こんな二人が出会って気持ちを寄せていく過程が、それぞれの目線で語られています。擦れていない宙彦が、初々しくて可愛いですね〜。志朗といると、どちらが年上か解りません。志朗も一山超えたからこその分別というか、包容力というか。この二人、もっと早く出会っていてもすれ違っていたでしょう。まさしく、会うべくして会ったという感じです。

エロは控えめ。この内容ならこれぐらいが適量かと。全体的にやや甘すぎる感も多少ありますが、ふんわりした話もたまにはいかがでしょうか。

≪追記≫
ルチル文庫から新装版が出たので、下のあらすじ&リンクは新しい文庫のほうへ。表紙は変わってないですねぇ。書き下ろしや改稿も無いようです。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)車のエンストで途方に暮れていた童話作家・槇原宙彦は、貧血を起こし倒れそうになったところを、宇多田志朗に助けられる。中古車のディーラーだという志朗は宙彦を自宅へ送り届け、以来、なにかと宙彦の面倒を見てくれる。過去の事故により、人との関わりを避けてきた宙彦だったが、年下の志朗に惹かれ始め…。初期作品、待望の文庫化。
(Amazon「内容」より)

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