ザイオンの小枝 (スーパービーボーイコミックス)
ユダヤ人医師・エリヤ×元SS伯爵将校 表題カップル ほか
※短編集です。一部連作あり。

《感想》

私がBL小説をイラスト買いする絵師さんの一人、稲荷家さんの新作!ストーリーもあり(ちょっと複雑)エロもあり(少々はーど)、なかなか楽しめる一冊でした。

表題シリーズ3作、表題番外シリーズ3作、他短編3作で構成されています。全体に共通するキーワードは「蝶」。サブキーワードとしては「オヤジ」。あと、短編1作以外は全てドイツSS物です。

表題作は、主従逆転のずっしり重い話。ドイツ敗戦直後の混乱のさなか、ユダヤ人医師の青年が元SS伯爵将校を監禁・陵辱しています。幼い頃に伯爵に保護され育てられたんですが、その為に同胞への非道な行為に加担させられて恨み、伯爵を強く慕う気持ちもあり、ねじれねじれて複雑な感情を抱いてるんです。

伯爵はなんとか逃れようと様々な抵抗をするんですが、やはりオヤジと若者では力の差も歴然。ついに気力を失ってしまいます。一方青年医師は伯爵の関係者と再会し、自分がどれだけ大切にされていたか思い知ることに。そして伯爵を安全に逃がす為、別離を選びます。

そして2年後、カイロで安全に暮らしてた伯爵は、青年医師がスパイとしてイスラエルにいることを知り、追いかけようとする場面で終了…。

え、ここで終わるの〜?!という終わり方ですが、これは続きがあるってことですよね。挟み込みペーパー(肉球編)では「次回からはアラブ物」となってましたが、どうでしょうか。ちなみにタイトルの「ザイオン」とは、イスラエルのエルサレム地方の呼び名「シオン Zion」の英語読みで合ってますか?そういえば、映画マトリックスで人間の住む街もたしか「ザイオン」。

その他の話も殆どは、迫害する側SSとされる側が、複雑な感情に振り回されています。1つだけ、SS物ではないカメラマンとガイドの話は、他に比べれば穏やかでハッピーエンドで、本作の箸休め的な短編でした。

表題作のパロディ「肉球編」は、箸休めというよりは、和食懐石に突然スパイシーピザが出てきたような感じかと。笑えますよ〜。

 あらすじ(PCはマウスを乗せると表示)終戦後のドイツ。廃屋に監禁され生き永らえる伯爵少将。彼を閉じ込めて屈辱を与えながら世話をするユダヤ人の青年医師。誰にも理解できない彼らの関係とは……!? すれ違う2人のその後も収録! 珠玉の表題作他、2人が超絶可愛い耳キャラで動きまくるショートギャク「肉球編」も収録した贅沢な一冊!!
(電子貸本Renta!「内容紹介」より)

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